最悪引き分けで終わりたかったシリア戦だけれど、最後の最後で得点を許してしまったわね。1失点目はまだしも、2失点目の相手ゴールは本当に素晴らしいシュートだったわ。これでオリンピック出場にいきなり黄信号が灯ってしまった日本だけれど、まだ諦めずに残りの試合を戦えば必ずチャンスは来るはずよ。頑張れ!ニッポン!
◆ロンドン五輪アジア最終予選C組第4戦 シリア2─1日本(5日・ヨルダン・キングアブドラ国際競技場) 関塚ジャパンのロンドン五輪出場に黄信号が ともった。当地でU―23シリア代表と対戦したU―23日本代表は、0―1の前半ロスタイムにFW永井謙佑(22)=名古屋=が同点ゴール。しかし後半 45分にDFサリハ(21)に決勝ゴールを奪われ1―2と敗戦。グループ2位に転落し、最終予選での自力突破も消滅した。日本は残り2戦を全勝しても、シ リアが全勝すれば得失点差の争いになる。第5戦はマレーシアでU―23マレーシア代表と対戦する。
後半45分悪夢 混乱していた。試合終了の笛が鳴り、関塚隆監督(51)は腕を組んで立ちつくしていた。うつむき、座り込む選手もいる。だが、歓喜に沸くシリアベンチの脇で、マン・オブ・ザ・マッチの表彰を受けていたのはMF山田。ぶぜんとした表情で記念撮影を受けた。
会場にはシャワーもない。試合の汗を光らせたままの選手は、ミーティングもなく、監督から言葉もなくバスに急いだ。あってはならないことが起こった。五輪切符に黄信号がともった。
異形の放物線に、打ち砕かれた。1―1の状態で後半ロスタイムに入る直前、CKのこぼれ球を拾ったDFサリハがロングシュートを放った。ボールは約35 メートルの距離を大きく舞い上がると、ゴール直前で急降下。ドライブシュートが、まさかの決勝ネットに突き刺さった。1失点目も相手FKが大迫に当たって の失点。「2失点とも、変な形で入っちゃったから」。DF酒井は力なくつぶやいた。これでシリアに勝ち点、得失点差で並ばれ、総得点で抜かれた。残り2 戦、たとえ日本が連勝しても、自力での1位突破の可能性はなくなった。
「マイボールのとき、もっと勇気をもって押し上げられていたら…」。指揮官は試合後、言葉を絞り出した。FW永井を最終予選初先発に抜てきし、前線のプ レスを利かせようとしたが前半18分に左MF山崎が左肘を痛め、退場。いきなりの布陣変更を迫られた。その後もシリアのアタックに単調なクリアを繰り返 す。「攻撃の形が一つしかなかった。勇気をもってつながないといけなかった」とFW大迫。日本らしいつなぐサッカーは影を潜めた。
11月の対戦で決勝ゴールを決めたFW大津祐樹(ボルシアMG)の招集はクラブ側が拒否。MF清武弘嗣(C大阪)は2日に左足肉離れで緊急帰国した。会 場のキングアブドラ国際競技場は、試合2日前には、ヨルダン協会がFIFA規約破りとなる試合を強行し、ピッチはボコボコ。最後に山崎までも失った。信じ がたいアクシデント続きの中東遠征で、最悪の結果が待っていた。
もう、ゴールを決め続けるしかない。「このチームは得点力がない。決めるべきところで決まらない。今までもそう。全員が決める気持ちが必要になる」。永 井は険しい表情で言った。「全部のチャンスを全部決めなきゃいけない状況になってしまった」。山田も口元を引き締めた。5大会連続五輪出場は、得点数の戦 いになった。試合には勝つ。しかも大勝で。限りない重荷が、関塚ジャパンに課せられた。
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